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2026/2/9

中国OEMや中国輸入の商品を、日本のAmazon・楽天・自社ECで販売するケースは増えています。
その中で「デザインを守りたい」「模倣品を防ぎたい」という理由から、意匠登録を検討する方も多いはずです。
ただし中国輸入では、やり方を誤ると
登録できたように見えても、後から 意匠権が無効 になる
つまり 最初から権利が存在しなかった扱い になる
という致命的なリスクがあります。
特につまずきやすいのは、次の2点です。
落とし穴①:権利の帰属(誰がデザインを作ったか)
落とし穴②:新規性(出願前に公開されていないか)
この記事では、中国輸入で意匠登録を確実に有効なものにするために、上記2つのリスクと対策をわかりやすく整理します。
(考え方は特許・実用新案にも共通します。)
中国工場で製造した商品を輸入し、日本で販売するモデルでは、売れ始めた瞬間に類似品が出やすくなります。
とくに見た目で選ばれる商品ほど、次のような問題が起きがちです。
類似品が出て価格競争になる
相乗りや模倣によって、レビューやブランドが荒れる
「うちの商品らしさ」が崩れる
そこで、商品の見た目(デザイン)を守る手段として意匠登録を検討する流れが出てきます。
しかし中国輸入では、登録以前に確認すべきポイントがあります。
それを見落とすと、登録後に無効になりかねません。
結論:工場が作ったデザインは、あなた名義で出願する前に「権利の譲渡」が必要です。
意匠法では原則として、デザインを創作した人(創作者)が、意匠登録を受ける権利を持ちます。
この権利は、デザインが完成した時点で発生します。
── 何が問題になるのか
中国OEMでは、デザインが次のような形で工場側にあることが少なくありません。
工場が元から持っているデザインを提案してくる
工場のデザイナーが形状を作っている
発注側は「色やサイズを指示しただけ」で、創作に関与していない
この場合、意匠登録を受ける権利を持つのは工場側です。
日本で輸入販売している側が、そのまま自分の名義で出願すると、後から
「本来の権利者ではない」
「出願する権利がない人が出願した」
と判断され、意匠権が無効になる可能性が出てきます。
── 対策:出願前に「権利の譲渡」を契約で固める
工場側が創作者である可能性があるなら、出願前に次の対応が必要です。
工場から 「日本で意匠登録を受ける権利」 を譲り受ける合意をする
その合意を 契約書で明確化 する
── 具体的なアクション
工場との契約に、次の点を明記する
日本での意匠出願・登録を行うこと
意匠登録を受ける権利を発注側に譲渡すること
工場が第三者に同一・類似デザインを提供しないこと(可能なら)
ポイントは、後から説明できる形で「権利の流れ」を作っておくことです。
これがないと、登録できても土台が不安定になります。
── 結論:出願前に公開されているデザインは、意匠登録できません。
意匠登録を受けるには、原則として出願前に
世界のどこでも
公然と知られていない(公開・販売されていない)
状態である必要があります。
これが「新規性」です。
── 何が問題になるのか
中国輸入では、意図せず新規性を失っているケースがよくあります。たとえば、
中国のB2Bサイト(例:1688など)に掲載されている
工場が他社にも販売していて、海外のEC等で販売・公開されている
展示会やカタログ、SNSなどで先に出ている
ここで重要なのは、日本で売っていなくても、新規性は失われるという点です。
工場側の動き一つで、出願前に公開状態になってしまうことがあります。
── 対策:出願前の「公開状況の確認」と「公開させない運用」
新規性のリスクを減らすには、出願前に次の2つが必要です。
世界で公開されていないか調べる
工場に公開させない(秘密保持)体制を作る
── 具体的なアクション
出願予定のデザインについて、次を調査する
・ 中国B2Bサイト
・ 海外EC
・ 画像検索
・ 商品名・型番・特徴語での検索
工場に次を確認する
・ 他社に販売していないか
・ Web掲載していないか
・ 出願まで第三者に開示しない運用ができるか
可能なら、契約で秘密保持・再販売制限(少なくとも公開禁止)を明確にする
── 【注意】登録できても安心ではありません
現実には、審査で公開情報が見つからず登録されるケースもあります。
しかし、その後に公開事実が発見されれば、無効審判などで争われ、意匠権が無効になる可能性があります。
登録はゴールではなく、後から崩れない状態を作ることが重要です。
中国輸入の意匠登録で最も大切なのは、「登録できるか」よりも 「無効にならないか」 です。
そのために、最低限ここは外せません。
── 無効化を避けるチェックリスト(最重要)
権利の帰属(誰が創作者か)
・ 工場側が創作している可能性はないか
・ 可能性があるなら、権利譲渡の合意を契約で確保したか
新規性(出願前に公開されていないか)
・ 中国B2B/海外EC/画像検索等で公開状況を確認したか
・ 工場が他社へ提供・公開していないことを確認し、出願までの秘密保持を徹底できているか
中国輸入では、意匠登録そのものはできても、後から無効になり得るポイントが存在します。
特に「権利の帰属」と「新規性」は、知らないまま進めると取り返しがつきません。
出願前に、契約と調査でこの2点を固める。
これが、意匠登録を“使える権利”として取得するための基本戦略です。
御社のビジネスをリスクから守り、長期的な優位性を確保するためには、出願前の確認と契約が命です。まずは上記2点の確認を最優先で行ってください。不明点があれば、中国ビジネスに詳しい弁理士にご相談いただき、リスクのない形で知的財産を戦略的に活用されることを強くお勧めします。