【商標】願書(申請書)の書き方、オンライン出願と紙出願の違いも徹底解説!

著者

弁理士 西山 玄一郎(登録番号: 22420)

どんぐり特許商標事務所 代表
個人やスモールビジネスオーナーなどから商標、著作権、知財戦略に関する数多くの相談を多く受けており、専門用語を使わずに説明するため非常に好評。化学・バイオ系の特許にも強い。アプリ開発を行うITベンチャーの起業経験もある。


「自分の登録商標を取りたい!」と思ったら、商標登録出願をすることになります。
商標登録出願するためには、決まった書式で特許庁に出願(申請)する必要があります。

商標登録出願は、専門家である弁理士に依頼することが一般的ですが、自分でも行うことができます。
意外と簡単なので、最近は自分で出願する人も増えてきています!

ここでは、願書に何をどのように記載すれば良いか具体的に解説していきます。

また、商標登録出願の方法として、紙で出願する方法と、オンラインで出願する方法があります。
それぞれメリットとデメリットがありますので、この点についても併せて解説します!

この記事を読んでも不安がある場合には、ぜひ、専門家である弁理士に相談してください!

目次

紙で出願か?オンライン出願か?

願書の記載方法の前に、どのようにして出願するかについてご紹介します。
商標登録出願をする方法として、印刷した願書を特許庁に郵送する方法と、オンラインで出願する方法があります。

紙出願・オンライン出願のメリット/デメリット

紙出願とオンライン出願にはそれぞれメリットとデメリットがあります。

紙出願オンライン出願
メリット簡単、楽チン
● 細かい書式を気にしなくても何とかなる
商標登録までの期間が紙より早い
電子化手数料が不要でコストを抑えられる
デメリット電子化手数料が別途必要
● 郵送やデータ入力などの時間がかかり、オンライン出願よりも商標登録までの期間が1ヶ月程度長くかかる
特許印紙を購入する必要がある(不要な場合もある)
● WindowsのPC、マイナンバーカード、カードリーダーが必要
事前準備が非常にめんどくさい
● 特許庁から届く書類がオンラインでのみ通知されるため、定期的にオンラインでチェックする必要がある。
紙出願・オンライン出願のメリット/デメリット


オンライン出願をするには、特許庁から専用のソフトをダウンロードし、確定申告のようにマイナンバーカードをPCに接続してWindows PCで出願する必要があります。
このオンライン手続きの準備は非常に煩雑なので、1, 2回程度しか出願しないのであれば、紙で出願する方が良いでしょう。
ただ、紙で出願するとその内容を特許庁でデータ入力する必要があるため、その分だけ商標が登録されるまでに時間がかかります。さらに、別途手数料が必要となります。

頻繁に出願しないのであれば、紙での出願をオススメしますが、早く権利を取得したいのであればオンラインでの出願をオススメします
どちらが良いかはご自身の状況で判断されると良いでしょう。

紙で出願する方法

Wordなどで願書を作成し、それを印刷して特許庁に送付します。
願書のフォーマットは決まっており、願書のテンプレートはこちらからダウンロードしていただけます。

細かい記載方法については、工業所有権情報・研修館の「商標登録出願書類の書き方ガイド」に詳しく記載されていますので、そちらを参考にされると良いでしょう。

商標登録出願書類の書き方ガイド
https://www.inpit.go.jp/blob/archives/pdf/trademark.pdf

オンラインで出願する方法

オンラインで出願するには、事前に準備が必要です。
Windows PC、マイナンバーカード、カードリーダーが必要です。さらに、出願ソフトのダウンロードとインストール、識別番号の取得と利用登録が必要です。しかも、この手続きには特許庁の1営業日かかるため、準備をしてすぐに出願はできません。

識別番号とは?

出願人固有に割り当てられる番号で、商標のみならず、特許など他の出願をするときににもこの識別番号を記載して出願します。

願書作成ツール「さくっと書類作成」

特許庁が提供している「さくっと書類作成」というブラウザ上で簡単に願書を作成できるツールがあります。
非常に簡単に願書を作成できるので、オンラインで出願する場合はこちらをご利用されるとよいでしょう。

ただし、WindowsでChromeかEdgeを使ってアクセスする必要があります。

さくっと書類作成
https://dl-sv1.pcinfo.jpo.go.jp/sakutto/

願書のテンプレートをダウンロード

願書のテンプレートを特許庁の電子出願サポートページからダウンロードできます。

オンライン出願用の願書のテンプレートダウンロードページ
https://www.pcinfo.jpo.go.jp/site/2_appl/2_hina/1_win/index.html

わざわざインストールする必要があることと、特許庁に対して行う手続きの様々な書類のテンプレートが一度にダウンロードされるため、ちょっと煩わしいかもしれません(弁理士向けです)。

ダウンロードされたテンプレートから「商標願」を探してみると、それだけでも20種類ぐらいあります。
(出願手数料の納付のバリエーションで4種類、特殊な商標のバリエーションで10種類近くあります)

クレジットカード払いで出願する場合の「商標願(指定立替納付)」や標準文字商標で出願する場合の「商標願(標準文字)」あたりを利用されると良いでしょう。
テンプレートを用いてWordで編集しますが、オンライン出願ソフトで読み込むときは、htmlファイルで保存したものを読み込む必要があります。

各項目の記載方法(紙・オンライン共通)

願書に記載する項目の記載方法を解説します。

【商標登録を受けようとする商標】

紙で出願する場合
8cm×8cm四方のサイズの枠を罫線で記載し、その中に商標を記載します。
8cm四方では小さい時には、15cm×15cm四方のサイズにすることもできます。

電子で出願する場合
ファイル形式とそのサイズなどが決められています。以下の形式の画像ファイルを準備してください。

  • jpgの場合(カラー可能)・・・200dpi、1181×1181ドット
  • png, gif, bmpの場合(白黒のみ)・・・400dpi、2362×2362ドット

【指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分】

【第xx類】という区分と【指定商品(指定役務)】の2種類の欄を設けます。
区分が複数あれば、その分の数だけ欄を設けます。

例えば、以下のように記載します。
【第25類】
【指定商品(指定役務)】洋服,コート
【第35類】
【指定商品(指定役務)】被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供

区分や指定商品については、それぞれ別の記事で詳細に解説していますのでそちらをご参照ください。

【整理番号】

必要に応じて記載します。
複数件出願する場合、どの出願か特定しにくくなるため記載した方が良いです。
自分で好きに決めたアルファベットや数字などからなる番号を記載できます。

例えば、以下のように自分がわかるようなルールを定めて記載すると良いでしょう。
・01
・Mー001

【商標登録出願人】

出願人(出願する人≒商標権の権利者になる人)に関する情報を記載します。

【識別番号】

初めて出願する人で、紙で出願する人は不要です(出願後に特許庁から識別番号通知書が送られてきて、自分の識別番号が判明します)。既に出願したことがある人は識別番号があるため、その番号を記載します。

オンライン出願する人は、事前準備で識別番号を請求する必要があります。

【住所又は居所】

「○○県○○市○○町○○丁目○○番○○号」のように住民票に記載の正式な形式で記載するのが望ましいです。
識別番号を記載した場合は【住所又は居所】の欄は不要です。すでに識別番号と紐付けがされているためです。

【氏名又は名称】

個人の場合はフルネームを記載します。
法人の場合は法人の正式名称を記載し、【氏名又は名称】の欄の次に【代表者】の欄を設けて代表者の氏名のみを記載します(役職は記載しない)。

【電話番号】

連絡のつく電話番号を記載します。何かあったら特許庁から電話がかかってくる場合があります。

まとめ

以上のように、願書に記載する項目はそれほど多くなく、簡単に記載できるものがほとんどです。

特に重要な項目は、【商標登録を受けようとする商標】【指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分】の2つだけで、この項目が権利を定めるものになるため、じっくり検討し、間違いのないように記載するようにしましょう。

また、紙で出願するかオンラインで出願するかについては、特段の事情がないのであれば、紙で出願されることをオススメします。

わからないことや、不安なことがあれば、どんな些細なことでも専門家である弁理士にご相談されることをオススメします。弁理士の著者が親切・丁寧にご説明いたします。

弁理士に出願方法や願書の記載について問い合わせてみる

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